2011年08月27日

精神科入院患者さんの止まった時間(続き)

精神科入院患者さんの止まった時間(続き)




先日、8月23日にアップした「精神科入院患者さんの止まった時間」


に対して、もしもさんからコメントを頂きました。


コメントありがとうございました。


今日は、そのコメントに対して返答させて頂き、


少し突っ込んだ記事を書かせていただこうと思います。


まず、コメント冒頭の質問に答えさせていただきます。


「もしも、ご自分は余命後半年といわれて、すぐに納得できますか?」


すぐにという時間が、どれくらいかはっきりしませんが、


自分なら納得できないにしても、理解し生きたいと思い、


そして治療してもらいたいと思います。


自分がなぜその病気になってしまったかは、


誰も納得はできないんじゃじでしょうか?


でも現実は受け止められると思います。


その現実を理解し受け止められれば、


今以上に生きることを意識して、


治りたいと思いますが、どうでしょう?


「精神科に属していながら、精神疾患の人の気持ちを全く理解していない」とありますが、


自分は、常に患者さんと対等に向き合って、接しているつもりです。


だから、説得するんです。


今のその患者さんの現状を伝え続けるんです。


なんで、今この薬を飲まなきゃいけないか。


なんで、今入院しているのか。


何度も、何度も説得します。


でも、現実は現実です。


自分で病院に来たとしても、他の家族に連れられて来たとしても、


病院に来たってことは、何か普通じゃないことがあったからなんでしょ?


違いますか?


そして、診察されて診断される。


なにもなかったら、病名もつかない。


ましてや入院なんてならない。


薬も処方されない。


違いますか?


でも、それは現実でしょ。


入院されて、ショックだというのもわかります。


ただ、現に今の入院患者さんのほとんどが、


何度も入院を繰り返しているリピーターなんです。


原因はいくつもあります。


ですが、かなりの割合で自分での薬を飲まなくなる「断薬」が


原因であることも確かです。


それはなぜか?


自分の病気を理解しきれていないからだと思います。


そりゃ誰だって薬なんて飲みたくないです。


でも、自分の病気を理解していれば嫌でも飲むでしょ。


仕事や家庭や、そして何より入院しないで生活が続けられるなら飲むはずです。


それができないってことは、理解力の低下がみられると考えるのも


間違っていないはずです。


中には、しっかりと自分の病気を理解し向き合い、


安定した生活を送られている方もたくさんいますから。


当然、何年も入院いていれば歳もとります。


限られた環境のなかでは、運動不足から筋力低下や、


生活レベルの低下もありますよ。


自分たちだって、みんな早く退院してもらいたい。


でも、現実はできない。


本人だけじゃない家族の理解を得るのも難しいからです。


入院前に患者さん本人が起こした言動。


そういったことも家族はショックでいます。


患者さん本人の病気がさせたことなんだけれども、


家族は理解を示しません。というより、そういうケースも多いです。


そういった家族のと距離を縮めるのも、自分たちの仕事だと考えて


働きかけています。


患者さん達の要望=気持ちです。それはよーくわかっています。


でも、イラストにもあったように「したい。」と「できる。」は違います。


入院していなかった昔はできた。


だからしたい。


今でもできるはず。いや、できる。


そう思われるのは自由です。


でも、自分は今の現実を伝え続けます。


それが、自分は患者さんの為だと思うから。


嘘を言っても患者さんのためになりません。


退院されて、社会に戻ってつらい思いをするのは患者さんだから。


何度も言いますが、自分は患者さんと対等な立場でいたいと思っています。


だから、「わかってもらえないことが多いんだよな。」って言いました。


これが、患者さんを軽視しているなら、


「わかんなくてあたりまえだ。」となってしまうでしょう。


正直、今回のもしもさんのコメントはショックでした。


でも、これでまたいろいろ考えるきっかけともなりました。


今後の患者さんのケア、援助そして看護に役立てていきたいと思います。


もしもさん、ありがとうございました。




Posted by 510 at 21:22
Comments(6)
この記事へのコメント
お仕事、お疲れ様です(^-^)

自分は−−《うつ病》ですが−−長年患っていますので、患者さんの気持ち、たぶん、よく分かります。

《たぶん》というのは、《うつ病》というのは、『原因』も、出て来る『身体的な疾患』も、『人それぞれ違う』から・・・。

他の科の病院なら『あなたはここがこういう風に悪いです。』というはっきりした説明が出来るのに、こういうものはそれが出来ない。

だから患者本人も、その周りの人間も《ちゃんとした納得》が本当にしづらい。(もひとつ言うなら、治ってきているのかどうかすらも分かりづらい・・・(~-~;))


でも、それがどんな疾患にしても、治療の第一歩目は『本人が自分の状態を理解する』事から始まると思います。

だから『何度でも話をして分かって貰う』というのは−−大変でしょうが−−間違っていないと自分も思います。

とにかく我々患者は、《なぜ自分は病院に来なければならなかったのか》を、まず《話》をして《理解》し、《医者を信用》して、『もう飲まなくていいですよ』の一言を聞くまで薬を飲み続ける−−−何しろ《お医者サン》は《その道のプロ》です。素人がどう頑張ったって《プロ》には勝てませんし・・・・・(^曲^;)


理解して貰えない《辛さ》《悔しさ》(時には《イライラ》?(^曲^;))等、日々あると思います。510さんこそ身体を壊さないでくださいね。

長々と失礼致しました。
Posted by Makoto at 2011年08月28日 02:35
私の主人は、うつ病と診断され、3年になります。

転職した会社での休みのない勤務の影響が大きかったようです。

その会社を辞め、私も当時勤めていた会社を辞めざるをえなくなり、
今は二人で自営業をやっています。

十分な収入もなく生活はたいへんですが、
主人もだいぶ安定してきているので、ほっとしています。

この病気になって、初めて主人と向かい合ったような気がしますし、
家族のありがたさを実感したような気がします。

510さんもお体に気を付けて、精神疾患の患者さん、そのご家族が
また笑顔を取り戻せるよう、助けてあげてくださいね。
Posted by ひまわり at 2011年08月28日 08:50
コメント ありがとうございます。
私も もう少し 気持ちを 書きます。

私が 一番ショックな 言葉が
>それどころか、「退院したい。」「仕事をしたい。」「結婚したい。」などなど、
>年齢も生活レベルも、そして、運動能力もそれを現実する
>には到底無理な事を訴えてくることも少なくない。
そんな 心で 患者さんに 接しているということです。

私は 躁鬱病で 完治しないのは 分かっています。
しかし ある Drが 「治るよ。だから きちんと薬を 飲むことを 約束してね」と
言ってくれたのです。
「そして 命を 捨てることを 考えないことも 約束してね」と。
軽く 軽く 元気に言ってくれたのです。

うそだ!って 思いませんでした。 このDrは 私を 助けたいんだ・・・
助けてくれるんだ・・と 感じることが出来ました。

心は 相手に 移ります。

到底無理な事を 言う・・・と 思いながら 患者さんと 接していたら
患者さんに通じないのは 当たり前だと おもいます。

あなたは ガンだから 助からないと
言われるのと 同じくらい 精神疾患になってしまったということは
受け入れがたいことです。

入院している 患者さんは 閉鎖病棟で 大騒ぎするような とんでもない人も いるでしょう。

私が 510さんの ブログを覗き続けていたのは
私が 入院した時 男性の中年の看護師さんが 眠れないでいる私に
「こんな 僕で 良ければ 話を 聞くよ・・聞くしか出来ないけどね」と
言ってくれた事が とても うれしかったから
看護師さんに対しては 良いイメージしかなかったから
読んでいました。

でも 本音は こうなんだ・・・・と がっかりしてしまったのです。

ネコの タッチも 可愛いし ファンでした。

コメントを 読んで 真剣に 精神疾患者と 向き合っていると かかれていますが ブログにアップする時 

ブログの書き方によっては 非常に 傷つく人が いることを 
分かっていただきたかったのです。

偉そうに すみません。 
Posted by もしも at 2011年08月28日 11:26
>Makotoさんへ

コメントありがとうございます。

患者さん(特にうつ病の患者さん)は、一日の中で気分の変動が

激しかったり、またその周期も患者さんによってまちまちだったり、

患者さん本人もとても辛く大変なんですよね。

こちら側が、今落ち着いていていいと思っても、本人は落ちている

ことが辛かったりする。その方が、そういった特徴の病で苦しんでる

ことは一般の方ではわからないから、いままでも辛い経験をされて

来たとお察しします。

今のこの時期(春から夏)は体調が比較的よかったりするんですかね



こうやってコメントをいただける方は、自分のことを理解できて

いるから、コメントできるんだと考えているんで、

きっと細目に先生にも相談できていると思います。

わかっている方はわかっているし、

見ている方は見ています。

まだ暑い日も続きます。体調管理には気を付けて、

無理などしないで過ごして下さい。

誰に何を言われても負けないでください。
Posted by 510510 at 2011年08月30日 20:02
>ひまわりさんへ

コメントありがとうございます。

ご主人さん、そしてひまわりさんも大変でしたね。

この精神科の分野は、環境に左右され、

そして家族や親類の理解が本当に必要な分野だと

この仕事について、強く感じています。

患者さん本人もそうですが、その家族の方も

大変な思いをされますね。

その大変さは、自分たちの想像を超えるものなんですよね。

ひまわりさん、少なくとも自分はその大変さを

わかってあげられる方かなと思っています。

本当に大変だったでしょう。

うまく言葉にできませんが、ご主人さんも安定してきている

とのことで、よかったですね。

今後は病院のPSWなどとよく相談されて、

うまく社会資源なども活用できて、

今以上に穏やかに過ごされるといいですね。

頑張って下さい。

コメントありがとうございました。
Posted by 510510 at 2011年08月30日 20:16
>もしもさんへ

コメントありがとうございます。

もしもさんの気持ちをわかりました。

こうやってもしもさんは、パソコン(携帯かな?)で

コメント等できて、自分の気持ちを伝えられてます。

感情もコントロールできているようにも見えます。

自分は精神科看護師として、当然患者さんの状態を見ます。

患者さんの状態って、すごく幅があり、変化があり、そして

歴史があります。すごく長い時間の経過があって今があります。

確かに、もしもさんが先生にMDIであることの診断を受けたこと

はショックだったと思います。

でも、ショックをうけるレベルでもしもさんはいますよね。

それって、すごく大切なボーダーラインだと思うんです。

正直言って、みんなおんなじように観察、病状判断したいけど

現在の患者さんの状態を見て、すべてに希望が持てる状態でない場合

もあるんです。第一、本当に退院できる、また退院しても問題ない

患者さんは、自分から「退院したい。」と強く訴えてきません。

先日書いた、他の訴えもそうです。

できたら、もしもさんもそういうものだと理解してください。

すべてに対して、そういった冷たい感情で接しているわけではない

んです。

でも状態は客観的に見ます。

うまく言えないです。



でも、もしもさんを傷つけたとしたなら、

申し訳ありませんでした。
Posted by 510510 at 2011年08月30日 20:38
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